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Official髭男dism "SOULSOUP"レビュー





ノーダウト、Pretender、ミックスナッツ、Subtitle……Official髭男dismの曲は聴く度に「やっぱり髭男ってすげー……」って思わず声に出てしまう。

だが、"SOULSOUP"はすごすぎて語彙力を破壊された。


"SOULSOUP"のMVはラーメン店が舞台だが、ラーメンで例えるのなら二郎系ラーメンも真っ青な濃厚で大盛りで聴き応えがあるのに、何度もいけちゃうような一曲だといえる。




まず、曲始まった瞬間からパーカッション大盛りマシマシなうえに、派手でインパクトの抜群のホーン、うねりが荒ぶってるベースが聴こえてくるが、この地点でもう超コッテリしてる。


そこから、Aメロ4回でさんざん引っ張るスタイル。それも『Aメロ→Aメロ→歌無し→Aメロ→Aメロ』という「正気か?」と思ってしまう、食べ応えならぬ聴き応えのある展開。


曲が長いとスキップ、サビにさっさと行かないとスキップされると言われてるこのご時世、真逆のアプローチをする超挑戦的な姿勢がいい。




Bメロに入るとJ-POPの常識をぶっ壊したように思いっきり展開が広がる。

「Aメロ、Bメロで持ち上げて、サビで広がる展開?そんなの知らん!」と言ってるようにも思える広がりっぷり。

……これ、サビじゃないんですよね???これはBメロなんですよね????(大事なコトなので2回)





まるでトリックアートを見てるみたい。すごい。





そこからさらに、ストリングス→ホーン→ギターのバトンパス。ギターが聴こえたときの「ぇ、まだ持ち上げるんですか?」という完全な不意打ち。


サビ突入すると『震える指 汗ばむ襟 痛みと疲れと失敗を』の『失敗を』の後ろでは、低いギターとシンセの音の波がブワッと押し寄せる。そして『一滴残さず飲み干すまで YEAH!!』がめちゃめちゃ気持ちいい。


予想外が続くに続いた2分間を、爽快感あるボーカル藤原さんのハイトーンボイスで叫んで締める。この、後味の気持ちよさが堪らない。

盛りだくさんの二郎系に挑戦し、ギブアップしてもいいですか……と言いかけた気持ちが消し飛ぶどころか、むしろよりいっそう箸が進む感じにも思える。





(これは超細かすぎるけど、間奏でティンバレスの高い音が前に出てきてるのに気づいてほしい。わからない人は全集中でイントロとサビ終わりの間奏を聴き比べてみよう!!)





間奏が終わって2番のAメロ……って、2番じゃないの!!??と、驚いたのは私だけじゃないはず。

ここでまさかのCメロ。グロッケン(鉄琴)とストリングスの組み合わせにおとぎ話やファンタジーな空気を感じてからの、ギターソロに入るのだが……




マジでここから次のサビまではギターのターン。




ホーンが同じフレーズをなぞったりしていると、ボーカルの藤原さんの歌が入ってくる。するとストリングスとユニゾンしたりして、自由自在ながらもめちゃめちゃボーカルに華を添えてくる。


ラストサビに行く前の『ため息に吹かれ冷めた心 沸かす熱を』のあとのホーンで持ち上げて、さらにエレキギターが3回持ち上げる。





ホーンが持ち上げる「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」


ギターが持ち上げる1回目「よっしゃクライマックスきたああああああ!」


ギターが持ち上げる2回目「もっかいって、これはアツいぞ!!」


ギターが持ち上げる3回目「うおっ、もっかい持ち上げるのか!?!?」




このがっつり持ち上げたあとはサビを2回繰り返すが、この2回目の最後に実は隠し味がある。



・『止めるな匙 続け乾き 全ての未来に祝杯を』のフレーズの裏ではシズル音が効いているハイハットが聴こえてくる。

・『飲み干すまで』で突き上げるようなアクセントのキックが聴こえる。


この2つは気づいたら気持ちよさが倍になるので全集中で聴いてほしい。



聴き終わって、食べきって。気持良すぎて原っぱで大の字になってるような気分。土手で親友と殴り合いの大喧嘩して、二人とも大の字になって笑ってるのが多分近いかも。


二郎系ラーメン級の濃厚で聴き応えのある曲を聴いたはずなのに、どこか不思議と爽やかな気持ちになれるのは魔法みたいだ。




……ここまでは曲のサウンドの部分の話。ここからは"SOULSOUP”の歌詞の話。もう少しだけお付き合いください。




藤原さんの書く歌詞は『情景が見える情報量パンパン活字祭り』だと思ってる。メロディーに言葉を詰め込む感じ。そのうえ語感の気持ちよさも併せ持ってる。率直に言ってすごすぎる。



・今僕の目の前で湯気を立たている 危険な色が渦巻く

・銀色の匙に写り込んだ 歪にこちらを睨む顔

・震える指 汗ばむ襟 疲れと痛みと失敗を



なんであんなにイメージしやすいワードをここまでキレイに並べられるんだろう……と、思ってしまう。情景描写の天才。



・ビターなこの現代

・外野の香ばしさ


解釈の仕方は人それぞれだけど、世の中をよく見ているなぁと私は思う。

昨今はすごく苦味が効いたような苦しい日々を頑張って生きてる人ばかりだろうし、香ばしい人間はネットの海に溢れている。

そこをしっかり書くところもいいなと思います。




……最近はツラいし、やってられないよなホント。という、日常の苦しみへの共感。

だけど、その苦しい日々を生きて、酸いも甘いもの「酸い」の部分も飲み込んでこその人生だよな。という励まし。




「生きる」ということの全てを味わい尽くせ。




そういうメッセージが込められてる歌詞が綴られている歌詞だと言えるだろう。




以上。2000文字以上の長文にお付き合いいただきありがとうございました!



 

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